目次
1. AI電話と人の違いを5つの項目で比較
AI電話は、音声認識などの技術を使い、電話をかけた人の用件に応じて案内や取り次ぎを行う仕組みです。こうした仕組みは「AI電話自動応答システム」とも呼ばれます。回答のつくり方や対応できる業務は、サービスによって異なります。
人による電話対応では、スタッフが会話の内容や相手の様子を確認し、必要に応じて担当者へ相談できます。クリニックでは、次の違いを踏まえて使い分けを考えましょう。

対応時間の違い|AIは時間外にも対応でき、人は勤務体制に左右される
受付や会計が重なる時間帯は、スタッフが電話に出られないことがあります。診療時間外の対応も、人員や勤務体制によっては難しいでしょう。
AI電話は、こうした時間帯の問い合わせ窓口として活用できます。ただし、24時間稼働できることと、すべての着信に待ち時間なく対応できることは別です。
同時に受けられる電話の数や、契約する回線・プランの条件を確認してください。人へ転送する電話については、転送先の対応可能時間も考える必要があります。
対応範囲の違い|AIは定型案内、人は個別の確認や判断を担う
診療時間、休診日、アクセス、支払い方法など、回答が決まっている問い合わせはAIに任せやすい業務です。同じ案内を繰り返す負担を減らせれば、スタッフは来院患者への対応に時間を使いやすくなります。
一方、患者の事情を聞いたうえで確認が必要な電話は、人による対応が適しています。症状の相談、例外的な予約変更、説明への不満などがその例です。
対応範囲を決める際は、事前に用意した情報で答えられるかを基準にしましょう。症状の相談などは、用件に応じて医師・看護師などへ引き継ぎます。
会話の違い|AIの聞き取りには制約があり、人は説明を調整できる
音声でやり取りするAI電話では、患者が用件を話して案内を受けられます。ただし、自然な音声であっても、患者の意図を十分に聞き取れない場合があります。
人による対応では、話す速さを変える、質問を言い換える、不安を確認して説明を補うといった調整ができます。
高齢の患者が多いクリニックでも、年齢だけで使いやすさを判断せず、聞き返しや長い説明を想定して試すことが大切です。患者が人との会話を希望した場合の対応も決めておきましょう。
記録の違い|AIは履歴保存、人は会話中の確認を活かせる
通話内容の記録や文字起こしに対応するサービスでは、問い合わせの確認や業務の見直しに履歴を使えます。
ただし、記録が残ることと、内容が正しいことは同じではありません。氏名、日付、専門用語などに認識誤りが生じる可能性を考え、重要な内容を確認する運用が必要です。
人が対応する場合も、会話中の復唱や記録様式の統一によって、聞き間違いや伝達漏れを減らす工夫ができます。AIと人のどちらでも、情報を受け取った後の確認方法まで整えましょう。
費用の違い|AIは利用料、人は対応や教育に時間がかかる
AI電話では、初期費用や月額料金に加え、通話量に応じた追加料金、転送費用、連携費用などを確認します。回答を更新する作業も考慮してください。
人による対応では、通話だけでなく、予約内容の確認、記録、担当者への連絡、新人教育などの時間がかかります。
比較する際は、AIの導入後に、スタッフのどの作業が減り、どの作業が残るかを整理しましょう。電話対応の時間が減っても、人件費がそのまま減るとは限りません。一方で、スタッフが受付や会計、来院患者への対応に時間を使いやすくなることも、導入を検討するうえで大切なポイントです。
2. 違いを踏まえて、AIに任せる電話と人が対応する電話を分ける
AI電話と人の違いを理解したら、電話の用件ごとに担当を整理します。予約に関する問い合わせでも、案内だけで済む場合と、個別の確認が必要な場合があります。
AIに任せやすい電話|診療時間・アクセス・持ち物などの定型案内
AIに任せやすい問い合わせには、次のようなものがあります。
- 診療時間、休診日、受付時間
- クリニックの所在地、アクセス、駐車場
- 初診時の持ち物
- 支払い方法
- 予約方法やWeb予約ページの案内
- クリニックが定めた検査・予防接種の受付手順や料金
いずれも、院内で確認した情報を登録し、変更時に更新することが前提です。
例えば、予防接種の料金は案内できても、当日の在庫や個別の接種可否まで答えられるとは限りません。決まっている案内と、その都度確認する情報を分けて設定しましょう。
予約対応は、AIが行う範囲とスタッフの確認が必要な範囲を分ける
「予約に対応できる」という説明には、複数の意味があります。AIがどの段階まで対応できるかを確認しましょう。
| 対応の段階 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 予約方法の案内 | 予約の手順やWeb予約先を伝える | 音声案内やSMS送信などの方法 |
| 依頼の受付 | 予約・変更・キャンセルの希望を受け付ける | スタッフの確認や折り返しが必要か |
| 予約の確定・変更 | 空き枠を確認し、予約システムに反映する | システム連携と、対応できる診療・予約条件 |
患者が変更希望を伝えても、予約台帳への反映が済んでいなければ、変更は完了していません。AIの案内でも、「受け付けた状態」と「確定した状態」を区別する必要があります。
人が対応する電話|症状相談・緊急性の判断・個別のトラブル
次のような用件は、AIだけで結論を出す運用を避け、内容に応じた担当者につなぎます。
- 症状や体調についての相談
- 緊急性や受診の必要性に関する判断
- 検査結果や治療内容についての個別の説明
- 通常の手順では対応できない予約・支払いの相談
- 苦情や、事情を詳しく確認する必要がある問い合わせ
引き継ぐ際は、用件に応じた担当者につなぐことが大切です。受付スタッフが用件を確認して取り次ぐ範囲と、医師・看護師などが専門的に対応する範囲を分けておきましょう。
3. AI電話とスタッフの役割分担を決める3ステップ

AIが得意な用件を担当し、人が個別の確認や判断を担うには、引き継ぎ方まで決めておく必要があります。導入前に、次の3ステップで運用を整理してください。
STEP1. 電話の用件・件数・集中する時間帯を把握する
まず、日々の電話を用件ごとに分類します。
| 記録する項目 | 確認すること |
|---|---|
| 用件 | 診療時間、予約方法、症状相談など、何が多いか |
| 時間帯 | 診療開始前、昼休み、診療終了後など、いつ集中するか |
| 対応時間 | 通話と、その後の確認・入力にどれくらいかかるか |
| 対応した人 | 受付で完了したか、医師・看護師への確認が必要だったか |
| 対応の結果 | 解決、折り返し、再問い合わせなど、何が残ったか |
数日だけでは偏りが出る場合もあるため、曜日や繁忙期の違いも考慮します。用件と対応時間を把握すると、AIに任せる候補が見えてきます。
STEP2. AIの回答範囲とスタッフへの引き継ぎ条件を決める
次に、AIが回答する用件と、人へ引き継ぐ用件を決めます。症状相談などに加え、次のような場面も想定してください。
- 用件を聞き取れない
- 回答を用意していない質問が来た
- 同じやり取りを繰り返しても解決しない
- 患者がスタッフとの会話を希望した
- 予約などの例外対応が必要になった
転送先、対応可能時間、引き継ぐ情報も整理しましょう。
院内の対応ルールを整える際は、クリニックの電話対応マニュアルとシーン別の例文も参考にしてください。
STEP3. 限られた範囲で始め、履歴と現場の負担を確認する
導入時は、診療時間やアクセスの案内など、回答が明確な用件から始める方法があります。時間外の定型案内に範囲を絞ることも選択肢の一つです。
運用後は、AIが受けた件数に加え、次の点を確認しましょう。
- AIの案内で用件が解決したか
- スタッフへの転送は適切だったか
- 同じ患者からの再問い合わせが増えていないか
- 聞き取りにくい言葉や、回答不足がないか
- 確認作業や折り返しを含め、スタッフの負担が減ったか
回答内容や振り分け方を見直し、無理なく対応範囲を広げていきます。
自院の電話対応にどのような機能を使えるか知りたい方は、NOMOCa-AI callのサービス資料をご確認ください。
4. 導入事例|なのはな耳鼻咽喉科でのAIとスタッフの役割分担

茨城県水戸市のなのはな耳鼻咽喉科では、診療時間外の電話を受けられないことや、混雑時の電話対応で患者への説明・案内が中断されることが課題でした。
NOMOCa-AI callの導入後は、月間1,138件の着信のうち、約67%にあたる768件をAIが自動応答で対応。残る370件は、専門的な対応が必要な内容に絞ってスタッフが担当する体制になりました。定型的な問い合わせをAIに任せることで、スタッフは来院患者への対応などに集中しやすくなっています。
また、予約方法などの問い合わせには、関連ページのURLをSMSで送信する仕組みも活用。患者が音声案内に加え、Webページでも必要な情報を確認できるようになりました。
AIとスタッフの役割を分けたことで、電話による業務の中断が減り、スタッフの時間や気持ちにも余裕が生まれています。
導入の背景や現場で感じた変化について、境院長がインタビューで詳しくお話しされています。
※数値は同クリニックの導入実績です。対応件数や割合は、問い合わせ内容や運用条件によって異なります。
5. AI電話と人の違いを踏まえた導入前の確認ポイント

AI電話が自院に合うかどうかは、電話件数だけでなく、用件の内容や人による対応が必要な範囲によって変わります。比較した5つの違いを、自院の運用に当てはめて確認しましょう。
電話件数だけでなく、定型的な問い合わせの割合を確認する
電話が多くても、医師への相談や個別確認が中心であれば、AIに任せられる範囲は限られます。
反対に、診療時間、アクセス、予約方法などの案内が繰り返されている場合は、その部分を自動化する余地があります。
まずは「どの電話をAIに任せると、どの業務の中断を減らせるか」を考えてください。定型案内が少ない場合は、スタッフ配置や院内の取り次ぎルールの見直しを優先する方法もあります。
高齢の患者や聞き取りにくい会話を想定して試す
デモや試験運用では、短い質問だけでなく、実際の患者の話し方を想定して確認します。
- 話している途中で、AIが回答を始めないか
- 一度に複数の質問をした場合、どのように案内されるか
- 方言や院内でよく使う名称を聞き取れるか
- 日付や数字を言い直せるか
- 聞き返しが続いた場合、人につながる手段があるか
SMSでWebページへ案内する運用では、SMSを受信できない電話や、スマートフォンの操作に不慣れな患者への対応も確認してください。
利用料金と、導入後にスタッフが行う作業を確認する
AI電話の導入を検討する際は、月額料金だけでなく、追加費用や導入後のスタッフの作業も確認しましょう。費用の項目や料金に含まれる範囲は、サービス・契約によって異なります。
| 費用項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 導入時の回答作成・設定にかかる費用 |
| 月額料金 | 基本料金に含まれる機能・通話量 |
| 通話・通信の追加費用 | 通話量の超過、転送、SMS送信の料金 |
| 予約システムとの連携費用 | 自院の予約システムと連携する場合の費用 |
| 設定変更・サポート費用 | 回答の修正や操作相談が基本料金に含まれるか |
次に、導入後もスタッフが行う作業を整理します。例えば、AIが予約の変更希望を受け付けても、予約システムへの入力はスタッフが行う場合があります。休診日や料金が変わった際の回答更新も、誰が担当するか確認が必要です。
AIが電話を受けた件数に加え、確認・入力・折り返しまで含めて、スタッフの作業がどれだけ減るかを考えてください。
残業を減らせるか、受付や会計、来院患者への対応に時間を使いやすくなるかなど、自院で改善したいことと利用料金を照らし合わせて判断しましょう。
詳しくは、AI電話で人件費の見直しにつなげる考え方もご覧ください。
予約連携・転送・個人情報管理・サポートの条件を確認する
AIと人の役割分担を実際の運用につなげるため、機能の有無に加え、自院で使うための条件を確認します。
| 確認項目 | 確認すること |
|---|---|
| 予約システムとの連携 | 自院のシステムに対応するか。案内・受付・確定のどこまで行えるか |
| スタッフへの転送 | 何を条件に、どの番号へ転送できるか。不在時はどうなるか |
| 回答の更新 | 休診日や料金の変更を誰が更新し、いつ反映できるか |
| 個人情報の管理 | 保存する情報、保存期間、閲覧権限、削除方法、事業者の利用範囲 |
| システム障害時の対応 | 通常の電話対応へ切り替えられるか。連絡窓口と対応時間はどうなっているか |
| 導入後の支援 | 回答の修正や、聞き取りに関する相談をどこまで依頼できるか |
患者の氏名や症状などを扱う場合は、クリニックと提供事業者の管理範囲も確認します。医療情報を扱うシステムの安全管理を検討する際は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参照してください。
サービス選定の詳細は、クリニック向けAI電話自動応答サービスの選び方でも紹介しています。
自院の予約システムとの連携や、AIとスタッフの役割分担については、現在の電話対応の状況と合わせてご相談ください。
6. AI電話と人の違いについてよくある質問

7. まとめ|AI電話と人の違いを活かして、自院の役割分担を見直す
AI電話は、回答が決まっている問い合わせを受ける窓口として活用できます。人による対応は、個別の事情を確認する場面や、専門的な判断、患者への配慮が必要な場面で重要です。
導入を検討する第一歩は、自院にかかってくる電話を用件ごとに分けることです。そのうえで、AIの対応範囲、スタッフへの引き継ぎ、費用、導入後に残る業務を確認しましょう。
クリニック向けAI電話自動応答サービス「NOMOCa-AI call」は、音声による自動応答、24時間365日の対応、指定担当者への転送機能などを備えています。
機能や特長は、サービス資料でご確認いただけます。自院の予約システムとの連携や、AIとスタッフの役割分担については、お問い合わせください。
※NOMOCa-AI callは、株式会社GENOVAが提供する医療業界特化型のAI電話サービスです。クリニックの受付電話に24時間365日自動応答し、自然な音声会話による案内を通じて、受付業務の負担軽減を支援します。


監修:
緒方 誠人(株式会社GENOVA専属ライター)
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- 2023年に入社。営業職として活躍後、株式会社GENOVAのマーケティング戦略を実行。現在は、専属ライターとしてオウンドメディアの記事制作やメルマガ配信など、コンテンツマーケを包括的に担当。これまで得た知見を活かし、医療機関の業務効率化やDX推進に寄与する信頼性の高い情報発信に努めている。








