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クリニックのDXについてその概要とDXの実現方法について解説します

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クリニックのDXについてその概要とDXの実現方法について解説します

はじめに

昨今、バズワードともなっている印象のあるデジタルトランスフォーメーション(Desital Transformation 以下、DX)ですが、日本はまだまだ遅れていると言われています。また、医療業界においてはさらに他業界よりも遅れていると言われているようです。
しかし、covid-19をきっかけとしてオンライン診療が普及したり、様々なヘルステック企業が生まれたりと日本国内でも徐々に意識されるようになっていると思います。そこで今回は、日本のクリニックにおけるDXについて、概要から、事例、課題と展望を考察したのでまとめていきたいと思います。
この記事を最後まで読めば、クリニックのDX最先端の知見が手に入るのではないでしょうか。それくらいの気合で書いてみましたので、是非お読みいただければと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉の起源は、Erik Stolterman教授が
ITの浸透によって、人々の生活があらゆる面でより良い方向に変化する
と提唱したことが基となっていると言われています。日本では、経済産業省がDXについて「DX推進ガイドライン」において、以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
要は、単に「IT化する」という意味合いだけではなく、「デジタル化した先に、企業としての競争優位を獲得する」というところまでがDXの定義になるようです。この定義は、プロバイダ側の視点での意味合いが強いですようです。
しかし、covid-19を迎え、医療においては、患者さんの受診控などの行動変容を受け、より、患者側の視点から価値を考える動きが強まっているように感じます。

(医院のIT化を目的に自動精算機を導入した事例はこちら)

 

日本の医療DXはどれくらい進んでいるのか?

日本のクリニックのDXのためには、クリニックにある情報を、集約し、いつでもそのデータを活用できる状態が必要です。そのためには、患者データを電子化する、電子カルテを活用する必要がありますが、現状のクリニックにおける電子カルテ普及率は、2019年:41.6%(出展:厚生労働省とまだ半分にも満たない状態です。

ちなみに、イギリスはほぼ100%、アメリカが約70%ほどと言われており、先進国の中でも進んでいる方とは言えないようです。

クリニックのDXで何ができるのか?

様々な事例を見ると
①患者にとってのバリュー、②医療従事者にとってのバリューに大きく分けて考えられると思います。
(患者様と医院様双方に評価された事例はこちら)

患者にとってのバリューとなる医療DX

病気にならないための医療

医療データ、仕事、生活習慣、趣味嗜好などのデータが全て取得され、それらのデータをAIが解析できるようになります。そうすることで、AIが疾病のリスクを示してくれたり、疾病リスクを抑えるための行動提案などをしてくれるようになります。それには、既存の医療の枠組みだけではなく、様々なテック企業の持つ技術を用いることが重要です。スマホのアプリで予防を実現したものも実際に、市場に出始めていますし、スマートウオッチをはじめとしたウェアラブルデバイスも健康、予防医療の実現を目的に使われ始めています。

実際にアップルの現CEOティムクック氏は、
もし将来、過去を振り返った際に、Appleが人類のために果たした最大の貢献は何だったかと問われたら、それはきっと健康に関したこと、と答えるだろう
と述べています。
また、LINEとm3が共同でリリースしたLINEヘルスケアでは、LINEという浸透しているアプリの中から、医師に病気のことについて気軽に相談できるような仕組みが提供されています。こうした、健康データや生活行動データを用いた予防医療の技術はますます予防に向けて医療をシフトさせていくことでしょう。

クリニックに行かなくても診療が受けられる

4G、5G、スマートフォンなどのデバイスの技術進化により、オンライン診療を実現することができるようになりました。クリニックに行かずとも、医師の診察を受け、処方薬も自宅までその日のうちに配達される仕組みも構築されつつあります。オンライン診療を提供する各社のWEBサイトより、オンライン診療に対応してくれるクリニックの一覧を検索することができます。また、新型コロナ感染症拡大を踏まえて、厚生労働省がHPにてオンライン診療を受けられる医療機関の一覧を示してくれています。私の体験談ですが、以前、夜間に発熱した際に、ファストドクターを使って、オンライン診療→処方薬の配達という、受診をしてみましたが非常に簡便で、使いやすかったです。

ポリファーマシーの解消

ポリファーマシーとは、複数(poly)の調剤(pharmacy)による害のある多剤服用のことを指します。ポリファーマシーによって、必要とする以上の薬を服薬していたり、服薬アドヒランス低下(※)と言った問題につながります。それを解決するためには、医師、薬剤師などをはじめとしたコメディカル全体が、患者さんの服薬データをはじめとした医療情報を適切に収集・共有する必要があります。それらの解決のために、電子薬歴システム・電子お薬手帳が普及し、適切に活用されることがポリファーマシーの問題を解決する一つの糸口なりえます。

※服薬アドビランス
患者が自ら積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること

待ち時間が削減される

待ち時間は、患者にとって非常に重要な課題です。特に外来クリニックにおいて、クレームが最も多いことに挙げられます。待ち時間については、医療従事者側のDX進展による業務効率化が実現すると考えられます。この部分については後述します。

医療従事者にとってのバリューとなる医療DX

医療従事者がわにもDXによる恩恵は多数あります。今回は、医師とそれ以外のコメディカルで大きく分けて、考えていきたいと思います。

医師の負担軽減につながるDX

  • AI問診
  • 音声入力
  • 画像診断補助AI
  • データシステム連携

主に医師の診断をサポートするものになります。こちらには、データとAIが最も活用される部分になると言え、これらが現場単位に実装されるようになれば、医療のあり方を変えるインパクトになりそうです。

医師以外の医療従事者の負担軽減につながるDX

  • WEB問診
  • 予約システム
  • 自動受付・精算機
  • 後払いシステム
  • 患者管理システム
  • 遠隔リハビリシステム

医師が直接使用しないものでもDXが進むことで、コメディカルの業務効率化を実現されます。業務効率化されることで、雑務ではなく、患者に向き合う時間が増え、より良い医療提供につながることが期待できますし、それが結果的に医療機関の中でも競争優位になると言えます。

医療のDXについて、経団連が動画にまとめてくれていますので、よりイメージしやすくなると思いますので、リンクを貼っておきます。
「経団連が提唱するSociety 5.0時代のヘルスケアとは?:https://www.youtube.com/watch?v=bc6FIdhniig

クリニックのDXはなぜ進まない?

クリニックではDXが他業界よりも進んでいない状況はなぜ、発生しているのでしょうか?マッキンゼーアンドカンパニーの調査によると、DXに成功している企業には5つの共通点があると報告しています。

  • デジタルに精通している適任のリーダーを、各部署に配置している
  • 将来の労働力の変化を見据えて、全体的な組織能力を向上させている
  • 新しい働き方を導入し、従業員の生産性を向上させている
  • 日々デジタルツールを導入するなどして、社内をアップグレードし続けている
  • 新しいデジタルシステムをむやみに導入せず、旧システムも見直しながら、徐々に新体制へと移行させている

クリニックにおいては上記の中でも、デジタルに精通しているリーダーをのいる医院はほとんどないと思います。また、データの蓄積先である電子カルテが普及していないこと、システム間連携のコストなどもあげられると思います。
しかし、今後は、国内でもチームメディカルクリニックや、AIロボクリニックと言った事例が出てきれています。こうした先行事例がうまく運営されていけば、こうした流れを踏襲して様々なクリニックがその仕組みを導入していくことになるでしょう。

クリニックのDXの進め方

デジタルによる事業構造変革には、「デジタルパッチ」「デジタルインテグレーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つのステップがあると言われています。

①デジタルパッチ

組織全体ではなく、部分的にデジタル適用を図っていくフェーズです。ツールの導入がここに当たります。つまり、DXのファーストステップは、DXに向けたツールを一つでもいいので導入してみることから始まります。
例えば、

  • 紙カルテから電子カルテに移行
  • 会計業務を自動精算機に移行
  • デジタルサイネージでの順番表記
  • WEB予約システムの導入

といったものが該当します。

②デジタルインテグレーション

この段階では、デジタルを活用して既存ビジネスモデルの高度化・拡張を図っていきます。先述したツールを融合して、患者体験を変えるステップになります。例えば、患者の受診体験を、リアルからWEB予約システムで予約をとるオンライン診療で診察をする処方は配達で行うリハビリをオンライン動画で指導すると言った部分的ではなく、各種DXツールを融合させることで、患者体験を変えるステップを指します。

③DX

デジタルを活用した新しいビジネスモデルへ、自社事業を組み替える。また、新しいデジタルビジネスモデルに適合するよう、組織の構造も抜本的に組み直す。クリニックにおいては、まだ本当の意味でDXを実現している事例というのはほとんどないと思いますので、平安保険といった海外の事例から学ぶ部分が多いと言えます。

まとめ

今回は、クリニックのDXについて、概要から事例、今後の展望についてまとめてみました。国内ではまだまだ事例も少なく、普及は先のように感じますが、確実に技術の発展からDXの流れが進んでいくことになると思います。今後の医療経営においては、テクノロジーに関する情報収集はもちろんDX人材の導入なども視野に入れた展開も考えていく必要が出てくるかもしれません。DXに関する事例なども、発信していければと思いますので、今後ともお読みいただければ幸いです。

 

参考文献

 

・株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所,令和元年度産業経済研究委託事業

調査報告書:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000473.pdf

 

・(一社)日本経済団体連合会,Society 5.0時代のヘルスケアⅡ~DXによるCOVID-19対応とその先の未来~:https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/062.html

 

・日本医師会 学術推進会議,AIの進展による医療の変化と実臨床における諸課題:https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200617_3.pdf

 

・医療情報デジタル化における4つの阻害要因と先にある明るい未来:https://ngunji.com/work/pharmait/

 

・厚生労働省「電子カルテ普及状況の推移:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000482158.pdf

 

・ベイカレントコンサルティングHP,デジタルトランスフォーメーションへの3ステップ:https://digital.baycurrent.co.jp/article/archives/2

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